●2015年大学入試数学評価を書いていきます。今回は中央大学(理工)です。
いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^
2015年 大学入試数学の評価を書いていきます。
2015年大学入試シリーズ第18弾。
私大シリーズ、第18弾。
中央大学(理工)です。
問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、
典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また、☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
難易度の指標は、こんな感じです。
D・・・難関大学でも難しい部類の問題。
E・・・超高校級の難問。試験場では即捨てOKの問題。
また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。
したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、
ヒントや答えをみるといい という目安にしてください。
中央大学 理工学部
(試験時間100分、4問)
全体総評・合格ライン
昨年よりやや易化、といったところでしょうか。全大問に数学Ⅲが絡むというセットでしたが、第1問のラストを除けば、ほぼ誘導に従って1本道で済み、場合分け等が必要となる問題もなかったので、取り組みやすかったと思われます。
試験時間100分に対し、
目標解答時間合計は110分。【79分】←穴埋め考慮
第1問の最後を捨てれば、穴埋め形式であれば割りと余裕があったかと思われます。第3問、第4問ともに文字の入った関数の問題ですが、そこまで計算量が多いわけではないので、点数を稼ぎやすいセットだったと思います。
■合格ラインですが、
第1問はキー問題。最後は捨てていいとしても、中盤で詰まる可能性もある。
第2問は誘導が非常に分かりやすいので、ここはおさえたい。
第3問はキー問題。た(1)が出来ないと(4)も出来ず、差がつく可能性があるが、つまみ食いが可能で被害は最小限か。
第4問は全体のセットを考えると落とせない。
キー問題で半分、他は抑えて70%ぐらい欲しいですね。
☆第1問・・・極限、積分、不等式(C、35分【23分】、Lv.2)
極限と積分の融合問題で、のっけから数学Ⅲの計算をがっつりさせられます。前半の極限や積分計算はいいですが、後半の2問は選択肢が多すぎて、どのように変形すれば出題者の意図に沿うのかが、非常にわかりにくく、難問です。
最初の極限はもちろん1です。次は部分積分です。三角関数の部分を(-cos x)' と変形します。
(Principle Piece 数学III 積分)
次の不等式は、t sin t の単調性を利用すれば、0sin0<tsin t<xsin x で0~xまで「t」で積分すればOKとわかるでしょう。この式をx^2で割れば挟み撃ちで極限がゼロだとわかります。次の極限もゼロです。
最後の2つは難しいです。前半は、xの単調性に着目し、sin x/2n+1<sin x/x<sin x/2n+1 とすればよいでしょう。
後半は難問。anと同じようにして端っこの値だけで評価すればと思いきや、左辺がゼロになってしまいますので、別の方法を考えます。
anと積分区間を合わせるために、区間をπ左にずらす、という方法をとると、sin(x+π)=-sin πなどから式変形が得られ、anと同じ評価を行えば選択肢の中の不等式が出てきます。
ちょっと難しいですね^^;
最初からがっつり数学Ⅲだわ。一番最後以外は順調に穴埋め完了。最後の不等式は、、、bnも同じようにやれば・・・ん?でも得られると思われる不等式が選択肢にどっちも入ってない^^; 逆に選択肢からみていく。
減衰関数だからan+bnは正の値のはずなので、右辺が負になっているものは却下。後半3つか。2n+3や2n-1が出てくるとは考えにくいので、「e」と予想。こうなるようにするには・・・通分しているように見える。anの計算から、分母・分子に本当は2が掛けられていたはずなので、2を掛けて戻していく。2n(2n+1)と(2n+1)(2n+2)か。部分分数分解っぽいなぁ。πずれ。ということは、bnの区間を左にずらせばいける? いけたいけた? これ難しいわ^^; 解答時間15分。
第2問・・・複素数のn乗と漸化式、極限(B、25分【16分】、Lv.2)
単純な複素数をn乗し、その実部と虚部の連立漸化式を作るタイプ。(1+√2)^n などでよく見かける形で、複素数になってもほとんどやり方は変わりません。
連立漸化式をまともに解くわけではありませんが、やることは1本道なので、誘導に従えばそこまで手が止まることはないかと思われます。2乗の和が公比1/2の漸化式であることから、どちらもゼロに収束するということになります。
和の収束もそこまで難しくありません。「ス」は初項c、公比c、項数Nの等比数列の和ですし、それを戻して実部と虚部に分ければどちらも出ます。あとは、先ほどの極限を用いるだけですね^^
なお、複素数平面の考え方を用いると、anもbnもほぼ一瞬で一般項が出せますが、本問ではあまりそれが使えないようになっていますね。
ん?複素数平面?いや違うな^^;ただの連立漸化式か。ただ誘導に従うだけで最後までいけちゃいそう。完全に1本道で、先ほどと大違いの問題。解答時間6分。
☆第3問・・・双曲線、漸近線、線分比と極限(B、25分、Lv.2)
標準的な双曲線の問題です。書かれなくても分かるハズの焦点が書かれていることなどは、この単元の演習量に対する配慮でしょうか。こちらも割りと一本道で、多少文字が多いので計算が煩雑ですが、誘導どおりに解いて行きます。
(1)が実は一番考えるところかもしれません。s、tと2文字ありますが、双曲線上の第1象限の点であることから、tはsで表せます。√ー√の形なので、逆有理化が原則です^^ どちらもこれで解決します^^
これで解決した後は、分母の最高次で割るといいでしょう。その際、例えば√の中に5次が入っていれば、「2.5次」と思う感覚が重要です。
(Principle Piece 数学III 極限 p.9)
(Principle Piece 数学III 極限 p.9)
(2)以降は割と一本道ですが、計算量がそれなりに多いので、慎重にやれば出来たところでしょう。漸近線の方程式や焦点の座標など、演習量が少ないと戸惑いがちなので、最低限の記憶事項は抜けないように練習が必要です。
※KATSUYAの解いた感想
双曲線の問題。(1)漸近線との差だから間違いなくゼロ。ちゃんと答えるには、、、tをsで表して逆有理化。sがかけられてても同じ^^(2)~(4)は誘導に従って計算するだけ。(1)さえ出来れば最後まで出来るけど、(1)で詰まると(4)も出来ないか。差がつくかも。解答時間15分。
☆第4問・・・微積総合、グラフ、極値、凹凸、面積(B、25分、Lv.2)
こちらも標準的な微積総合の問題です。式に文字ははいっていますが、大して計算は複雑ではなく、「e」の計算に慣れていればさくさく解ける問題です。
(1)最初は増減、凹凸調べて極値と変曲点を出します。「増減、凹凸を調べて」とは書いていませんが、極値と変曲点を求めるために調べているも同然ですので、増減凹凸表でグラフを書いたほうがよさそうですね。
(2)の接線、(3)の面積もただただ計算するだけ。(3)の面積は部分積分です。指数関数を先に変形しましょう。第1問のときと同じ原則ですよね^^
図形的な把握力は求められておらず、どちらかというと計算力オンリーの問題という感じです。第1問のほうが全然難しいですね。なお、eの値が小数第11位まで与えられていますが、2.7より大きいと分かれば十分。これはおおげさです。
(Principle Piece 数学III 積分)
※KATSUYAの解いた感想
記述のほうが簡単な気がする^^; 増減、凹凸、極値、変曲点、グラフ、面積 → 傍用問題集のAレベル問題をくっつけた感じにしか見えない。最後のeの値も、そんなに詳しく評価しないといけないのか、と思いきや、2,7より大きいで十分。部分積分の計算に気をつけて、ということやな。解答時間14分。
対策
記述式は例年に比べると易しめなので、もう少し難しめのレベルを想定して練習をしたほうがいいでしょう。理系らしい場合わけの問題なども好きなので、定数入りの関数の問題(IIIに限らず、3次関数とかも)なども重点的に。全体的にIIIが多いので、IIIの演習量は必ず確保しましょう。今年は確率が出ていませんが、確率は忘れずに。レベル的には、青チャートの章末問題やExercise以外の部分のマスターが必須でしょう。
以上です^^ 次回は、早稲田大学(理工学部)です。
■他年度、他の大学の入試数学■
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>> 2012年度の中央大学(理工)
■関連するPrinciple Piece■
★ 数学Ⅲ 極限 (第1問、第2問、第3問)
★ 数学Ⅲ 積分 (第1問、第4問)
★ 数学Ⅲ 微分 (第4問)
※今年は、かなりIIIに偏ってますね^^;
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