●2015年大学入試数学評価を書いていきます。今回は【後期】九州大学(理系)です。
いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^
2015年 大学入試数学の評価を書いていきます。
2015大学入試シリーズ第53弾。
国立シリーズ、第30弾。
【後期】九州大学(理系)です。
問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また、☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
難易度の指標は、こんな感じです。
D・・・難関大学でも難しい部類の問題。
E・・・超高校級の難問。試験場では即捨てOKの問題。
また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。
したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい という目安にしてください。
九州大学 理系 【後期】
(試験時間120分、5問)
全体総評・合格ライン
難易度は昨年よりやや易化です。前期同様に出題範囲は数学III2問、確率から1問+残り、といった構成です。3番の除けば普段通りの実力を発揮できれば入試問題練習をしている感覚ですすめられたものも多かったと思います。全体的に方針が立ちやすいです。
試験時間120分に対し、
目標解答時間合計は125分。(昨年は150分)
昨年の最後のような論証はありませんので、少し短め。しかし、めちゃくちゃ簡単な問題もありません。難易度はバランス型なので、対策をしてきた分野や、自分が得意な分野をしっかり押さえれば相性のよいセットです。
■各問題の概要
(絶対落とせない=1、落とすと不利=2、取れれば有利=3、取れないかも=4、まず取れない=5)
(難易度とは違い、セットから見た相対的な評価です)
第1問は「2」。基本的な空間ベクトル。
第2問は「3」でキー問題。連勝の確率を無限級数として表せたかどうか。経験の差が現れそう。
第3問は「4」。あまり経験がないタイプの問題で、こちらは正答率が低いと思われます。
第4問は「3」でキー問題。典型的な級数の収束。無駄に文字入ってますが、少し落ち着けば出来ます。
第5問はよくある放物線と2接線なので「2」。3番を飛ばせば時間はある。
■合格ライン
典型問題である1番、5番をやり、ちょっとましな4番も落ち着いて取る。確率ができればそちらでも。3完全+αで65%ぐらいあれば大丈夫かと思います。
第1問・・・空間ベクトル、直方体、平面との交点、垂線(B、20分、Lv.2)
大量に座標が書かれていますが、ただの直方体の問題。聞いていることは直線と平面の交点、平面に垂直なベクトルなど、至って標準的なことなので、原則も使えますし、この問題は確保したいですね。
(1)についてはこちらの原則です。
(Principle Piece 数学B ベクトル p.69)
(2)は両方に垂直なベクトルを求めよ、といっているだけですので、教科書レベルです。
(3)はAPと(2)のベクトルが平行であればいいので、また実数倍すればOKです。2文字はいっていますので、「何を消して」「何を消さない」のか、よく考えて式変形しましょう。センターなどでも言えることです。
※KATSUYAの解いた感想
後期は数B入ったな。前期なかったらな。問題は単純。解答時間9分。
☆第2問・・・確率と無限級数、不等式(BC、25分、Lv.2)
2つのルールでAとBが勝負するとき、有利な方を考える問題です。ルール1は余裕ですが、ルール2は経験がないと不安にかられます。。
(1)ただの反復試行、というかたった3回しかやらないので、そんなことするまでもなく調べたほうが早いですね^^;
(2)も実は(1)と同じで、何回目で優勝するかを考えるのですが、結果如何ではいつまでも続きます。従って、無限級数の和として現れることになります。
BABABA・・・B,AA と終わる場合(奇数回)、ABABAB・・・AB,AAと終わる場合(偶数回)で終わる場合について、ともに確率が等比数列となりますので、無限等比級数の和として表すことができます。
※KATSUYAの解いた感想
後半のルールは無限級数か。知らないと手がとまりそうやな。やることは単純なのでそのままコツコツ計算。最後もきれいに因数分解できたし、結果にもなっとく。勝率が低なら回数が少ないほうがいいはずやし。解答時間7分。
☆第3問・・・関数、MAXの最小値(C、30分、Lv.3)
いわゆる、最大値の最小値というものですが、MAX関数は受験生の苦手な分野と思われます。本セットでも最難問と言えるでしょう。
MAX関数の最小値を求めるには、例えば(1)の場合は、xy≦M、1-xy≦M を満たすようなMの取りうる範囲を求めることに帰着されます。不等式ばかりなので、領域図示がいいかもしれません。
(2)は少し複雑になりますが、同様です。
(Principle Piece 数学II 図形と式 p.57-59)
※KATSUYAの解いた感想
MAX関数か。範囲的には数学I?数学II?いや、1-xy≦Mなら数III?まあなんでもいいか。いずれにしろ、不等式は領域図示が一番安全。でも(1)は式変形がはやいからそれで(笑) 解答時間17分。
第4問・・・無限等比級数とその和の極限(B、25分、Lv.2)
文字が無駄に多いだけの、ただの等比数列の級数の問題です。αやらなんやら入っていますが、公比がきちんと見抜ければ問題ありません。公比は、「n」が入っているところです。nが1大きくなるとどれぐらい変わるか、がポイントです。
(3)の極限は、どちらも「r^●ー1/r-1」の式を、微分係数の定義に従って求めるところがポイントとなります。
どちらも、同じところがポイントになるため、a(r)とb(r)を両方とかせた意味がいまいちわかりかねる問題です。
※KATSUYAの解いた感想
パッと見、文字が多くてめんどくさそうやけど、、単項式ばっかりやん。結構単純やな。てか、aとbあんまりやること変わらないよな?(1)、(2)をやってもあまり変わらず、「いいんだよな?」と不安になるも、そのまま続行。(3)もほとんど同じ。てか答えも同じ。でも「r」がはいってるか入ってないかだけやし、1に近づけるんなら一緒やろ。解答時間11分。
☆第5問・・・放物線と2接線、面積(B、25分、Lv.2)
放物線と、その焦点を通る直線の交点における2接線に関する問題。演習量次第ではアタマに入っている人もいるかもしれませんが、焦点を通る2直線との交点における接線は、かならず垂直になります。
今回はそれを、文字定数入りの直線で確認させる問題です。(3)は事実を知っていれば1発で1:1だとわかりますが、ここは数式で処理するほうがいいでしょう。
(1)は軌跡を求める問題なので、P(x、y)と置きます。準線と焦点が与えられているわけです。数学IIIの2次曲線の知識を使ってもOKです。
(Principle Piece 数学II 図形と式 p.44)
一般的に「a」のような定数が入っている場合は、交点は汚いのでα、βなどと置いていって解と係数の関係を活用していきますが、(2)でまとも計算せられているので、これを用いていけばいいでしょう。
(Principle Piece 数学II 積分 p.31-32)
(3)は傾きの積を求めるだけです。
あえて三角形ー∫(Cーla)dx とすれば、積分部分は以下の原則で割と楽に計算できます。
(Principle Piece 数学II 積分 p.34-37)
※KATSUYAの解いた感想
微積分総合、でも数IIだな。これはサービス問題やな。接線とか交点とか面積とか、原則が使えるところたくさん、という印象。こちらとしては完全に作業レベルの問題なので、つらつら書き続ける。解答時間15分。
対策
九大は、割と標準的な問題が多いです。典型手法をいくつか組み合わせればとける問題という印象。教科書程度ではもちろん足りませんが、一通りの手法を終了させ、それらを組み合わせた入試基礎レベル→もう少し解答に時間のかかる問題集 へと勧めていけばいいでしょう。対策やお勧めの問題集は、過去の批評を見てください。
>> 2010年の九大理系数学
>> 2011年の九大理系数学
>> 2012年の九大理系数学
>> 2013年の九大理系数学
>> 2014年の九大理系数学
以上です^^ 次回は、【後期】北海道大学(理系)です。
>> 今年の他の大学も見てみる
■関連するPrinciple Piece■
★ 数学B ベクトル(第1問)
★ 数学A 確率 (第2問)
★ 数学III 極限 (第2、4問)
★ 数学II 微分(第5問)
★ 数学II 積分(第5問)
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